「利用者様がなるべく利用しやすいように、できるだけ安い運賃設定にしたい…」
このような想いをお持ちの方は、訪問介護事業を併設している方や、リタイヤ間近に介護タクシーを開業される方に多いです。
訪問介護をされている方は、そちらで十分利益が出ているので、介護タクシーはそんなに利益がでなくても大丈夫、というご意見が多いです。この場合、特に近隣の介護タクシー事業者との連携も必要なければ、自動認可運賃の中で自由に安い設定を選択しても良いかもしれません。しかし、安く設定しすぎて、運輸を開始してから、やはり利益を出す運賃設定に変更する事業者も少なくないことを知っておいて下さい。
リタイヤ間近で、自分は稼がなくてもいいから、一番安い運賃設定にしてあげたい…そんな人は、近隣の介護タクシー同業者と良好な付き合いができないかもしれないリスクがあることを知っておいて下さい。その理由は…介護タクシー事業者は、自分の顧客の仕事が重なったときには、同業者に代走をお願いしなければならないのですが、自分より安い同業者に代走を頼むと、顧客を取られてしまう可能性があるから。この場合、逆に安い運賃の人が高い運賃の事業者に代走を頼むと、お客様にとってはいつもより高い運賃を払うことになり、トラブルになりやすいですよね。また、妻子を養わなければならない、現役世代の介護タクシー事業者から見れば、安易な安売りをする事業者を敵視してしまう傾向にあります。
世間では、「介護タクシーは高い」という声があるのは事実ですし、自動認可運賃の範囲で安い設定にすることは、決して悪いことではないのです。ただ、同業者と連携がとれないということは、すなわち、自分の顧客に不便な思いをさせてしまうことに繋がります。そのことを理解した上で、運賃設定を決断していただけたらと思います。